東京医科大学八王子医療センター 脳神経外科 | 若手医師からのメッセージ

若手医師からのメッセージ

若手医師からのメッセージ2 市川 恵

働きやすい環境に甘んじることなく、 脳神経外科医としてのスキルアップに努めます。

専門性を磨きつつ、常に初心に立ち返る

 出身は東京です。大学は福井医科大学(現・福井大学)の医学部で、平成18年に卒業して研修医として八王子医療センターに入りました。後期研修で脳神経外科を選択して脳卒中の患者さんを中心に診ています。今は脳卒中の患者さんが極めて多い時代ですので、さまざまな症例と向き合うこととなり、常に新しい知識を学び取っていくことが求められます。そうした意味でもこの八王子医療センターはとても恵まれた環境にあると思います。臨床医となるには、人の命を預かるに相応しい知識と技術、そして本人の心構えや覚悟が求められます。それは高いハードルですが、だからこそ一生を賭して力を注ぐことができる仕事あると私は考えています。ただ、医師を志した時の純粋な気持ちをどこまで持ち続けられるか。これが大きな課題になります。
 初期研修の頃は指導医のもとで仕事をするため、医師としての専門的なスキルを伸ばすことはできません。ただその分、患者さんとたくさん話をして、その気持ちに寄り添って理解しようと考えます。ところが後期研修以降、専門医として患者さんと向き合う頃には、日々の仕事に忙殺されて医師として何より大事な初心、つまり患者さんやそのご家族の気持ちを思いやることを忘れがちです。専門性を追求して自分を伸ばしていく努力はもちろん必要ですが、それに加えて、初心を違わぬ人間性の維持が臨床医には求められることを常に自分の戒めとしています。

神の領域に踏み込む脳外科医の仕事

 学生の頃から神経系の病気に興味があり、後期研修の選択肢は、脳神経外科、神経内科、精神科の3つがありました。特に脳神経外科と神経内科で悩みましたが、最終的な決め手となったのは私自身の性格です。
 脳神経外科の病気は患者さんを診察して検査をすれば比較的早く診断することができ、即治療に進むことができます。一方、神経内科の病気は検査工程が多く、その分検査結果がでるまでに時間がかかってなかなか診断に至りません。私の性分としては、すぐに診断がついて治療を始め、患者さんが良くなっていく姿を早く見たいという思いが強く、結果的には脳神経外科を選択しました。

 また、脳というのは極めて崇高なものだと私は思うんです。ちょっと大げさかも知れませんが神の領域といいますか…本来ならば誰も触ってはいけないような部分を医師の名を借りて特別に触らせていただいている。いささか不謹慎に聞こえるかも知れませんが、この醍醐味は、脳神経外科医以外では味わえないものかと思います。やはり医師として仕事をする以上は、自分の興味ある分野を突き詰めていくことが大事です。初期研修ではさまざまな分野の手術を体験しましたが、同じ長時間のオペであっても、興味の持てない分野は体力を使い果たしたという気持ちになりましたが、脳神経外科のオペは疲れることもなく、集中して取り組むことができました。それは今でも変わることはありません。

医師とスタッフの連携で医療は成立する

 大学卒業時にこの病院を選んだ理由は、まず東京で医師として働きたかったということがあります。しかも都心の喧騒にまぎれて働くのではなく、仕事にじっくり向き合えるような環境の病院であることが大前提でした。そこでエリアを多摩地区に絞り、ある程度の病床数があり、しっかりとした初期研修が行える病院であること、そして大学病院的な珍しい症例を扱いつつ市中病院的なフットワークの良さを兼ね備えている、といった条件が揃っていたのがこの八王子医療センターでした。
 実際に医師として働き始めて学生時代の友人と話をしてみると、ここの病院は働きやすい病院だとつくづく実感できます。何しろ看護師の方々がとても協力的です。緊急で出した指示でも嫌な顔一つせず受けてくれますし、突然手術を入れても迅速に動いてくださいます。医療というのは医師がどれだけ優れた技術を持っていたとしても一人では何もできません。メディカルスタッフとの連携があって、初めて医療は成立するし、結果、それが患者さんのためにもなるのです。そうした点でこの八王子医療センターは、医師にとって理想的な職場といえるでしょう。
 また、最近は女性医師も増えています。脳神経外科では私一人ですが、八王子医療センター全体で見れば4割近い比率で女医さんがいるんじゃないでしょうか。医療の現場にも女性の力がだんだん浸透してきているのは嬉しいことです。

脳神経外科医のオールラウンダーを目指して

 将来は脳神経外科医として全般的に診ることができる医師になりたいと思っています。脳卒中の専門医という限られた領域にとどまることなく、脳腫瘍であっても頭部外傷であっても、何でもオールラウンドに診ることができる脳神経外科医になる。それがこれからの私の目標です。そのためにはやはり、いろんな臨床に触れることが必要でしょうし、学ぶべきこともまだまだたくさんあります。
 私は後期研修から数えて5年間この病院の脳神経外科で働いていますが、先輩医師のアドバイスもあり確実に専門性は磨かれつつあると自負しています。しかしながら、そこで満足しているのではなく、脳神経外科医としてさらに広い分野の知識や技術を身に付けて、病気で苦しむ患者さんのために広く役立てたいという欲張りな思いも持っています。これは脳神経外科医を志望してここまでやってこれた、私自身の“医師としての目覚め”と言えるかもしれません。脳卒中なら誰々先生、脳腫瘍なら誰々先生、てんかんなら誰々先生と言われるスペシャリストになるのは素晴らしいことです。そうした先生方がいらしてこそ病院医療の裾野は広がります。また本来は、そうした道を志すのが普通かも知れません。でも私には、「脳神経外科医なら市川先生と言われたい」密かにそんな野望があるんです。